「話し方」の心理学 必ず相手を聞く気にさせるテクニック (日経ビジネス人文庫)

どんな本?

アメリカの産業心理学者。心理学博士のジェシー・S・ニーレンバーグによる「話し方」に関する本。

コミュニケーションのうち、「聞く」ことより「話す」ことにテーマを置いています。

2005年発行なので、15年近く昔の本ですが、古さはまったく感じません。

人とわかりあうことはなぜ難しいのかという話から始まり、どうすれば話を聞いてもらえるのか、具体的な会話例をあげながら考え方、テクニックを説明しています。

具体的には次のようなことを学ぶことができます。

■話を聞いている相手の注意力を引き付けておくにはどうすればよいか?

■会話で何を話すか、どのように話すかと考える以上に大切なこととは?

■どんなときに、人は話を聞く集中力が落ちるのか?

■人を説得するとはどういうことか?どうすれば押し付けにならずに話を受け入れてもらえるのか?

■商談で相手から「買いたくない」という意思表示をされたときの効果的な対応方法とは?

■アドバイスを相手に受け入れてもらうにはどうすればよいのか?

このような実戦的なテクニックを身に付けることができます。

所感

テクニックに関する本ってちょっと前の本に書かれていることだと

「こんなの、今どき使うやついないよ!」

なんてツッコみたくなることありませんか?

今の時代はとくに、テクニックというのはすぐに陳腐化するものが多いですが、この本で述べているテクニックは、本質的なものなので、これからも時代遅れになるということはないでしょう。

この本を読んで私は3つのことを考えました。

相手に聞いてもらうための工夫とは?

私は仕事柄セミナーなど主催して20人くらいを前に話をすることがあります。

だいたい2時間くらい(休憩をはさんで)話すのですが、話す前にはもちろん準備をします。

何を話すか?
どんな順番で話すか?
どのように話すか?
どんなことを語れば感動してくれるか?

パワーポイントで資料を作って、この項目は〇分で話す、これは〇分・・・というふうに時間を割り振ってシミュレーションします。

そして、その配分通りに本番で話すことはできます。

「我ながら、いい話したな~」

なんて思うこともあります。

そのセミナーはコンサルタント契約を結んでもらうためのフロントエンドのセミナーだったりするのですが、さっぱり契約につながりません・・・

それは、この本で述べられているように

●会話でなにを話すか、どのように話そうかとわたしたちは知恵をしぼるが、相手に聞いてもらうための工夫となると、ほとんどなにもしていない。

これが原因だったのか!と思った次第。

相手に聞いてもらうための工夫・・・

当たり前ですが、話を聞いている人の表情を見て、話しについてきているか、退屈そうにしていないか確認するという初歩的なことからはじまって、

途中で質問を受けるとか

「ここまでで何か質問はありますか」
「何か意見があったらお願いします」

などの工夫が必要だなと。

その工夫について、衝撃的ともいえる感銘を受けたのがハーバード大学の政治哲学者、マイケル・サンデル教授の授業です。


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1000人以上の受講者と対話をしながら、自分の考えを示していくという離れ業を、完璧にやってのけています。

現代のソクラテスと呼ばれるのも納得です。

これができるようになりたい!

と思ったのでした。

なぜ上司は求めてもいないのに恩着せがましくアドバイスをしてくるのか?

私は組織で組織で働くことから逃げ出した人間なので、今後も部下を持つことはないし、組織に興味はありません。

しかし、サラリーマン時代、聞いてもいないのに、延々とアドバイスらしきものを押し付けてくる上司に何人か出会いました。

そのときは、「はあ、また?もういいよ」と心の中で思っていただけなのですが、この本を読んでその理由がわかりました。

彼らは別に私の成長を願ってアドバイスらしきものをしていたわけではなく、私に影響を及ぼしたいと思っていただけだということ。

本能的にこのことが透けて見えていたから、聞く気にならなかったんだなと。

と思ったときに、ゾクっとしたことが。

自分は子供の教育で同じことをしていないだろうか?

私には高校生の息子と小学生の娘がいるのですが、本当にその言葉は子どものためを思ってのことなのか?

普段の言動を反省するきっかけになりました。

文章にも応用できる説得テクニック

本文中に次のような記述があります。

●人を説得するとは、あなたのいまの考えを捨ててわたしが示す考えを採用しなさいということである。それにはいきなりこちらの論理を押しつけるよりも、なぜいまの考えにこだわるのですかとたずねてみる。

●商品のメリットを並べたてるより、顧客の考えを深くさぐってみるべきだ。現在購入している商品はそれほどよいのだろうか。商品についてもっとたずねてみればよ。その商品はどれくらい保つのか。トラブルはないのか。その取引先が提供しているサービス、配送状況。そのほか自社商品との比較に役立つ情報を相手から引き出してみる。

これって、対面のセールストークに関することですが、セールスライティングにも応用できます。

私はアフィリエイトもやっていますが、「売りたい」という気持ちがどうしても先にたち、商品やサービスのメリットを並べ立ててしまうということがよくあります。

対面でこれをやれば、相手が聞く気をなくすように、ウェブライティングでこれをやれば、即離脱されているでしょう。

ウェブライティングでは相手が見えない分、この間違いをやっても気づきにくい。

この説得のテクニックを文章に応用するには

いつ買ったのか?

購入したキッカケは?

使ってみてどうか?

何か不満を感じたことはないか?

これらのことを読者に想像してもらう文章を入れるということです。

このパートの後に、自分がすすめる商品の紹介をするという順序が大切だろうと気付きました。

ピックアップ

●自分の感情を自覚できないままでいると、わたしたちは無意識のうちに自分の感情に支配されてしまう。

●相手の注意力をひきつけておくには、くりかえしのたびになにかを加えてゆく。同じ言葉を使わない。同じことをより大きな観点からとらえて話すようにする。こうすれば相手を退屈させずに、内容の念押しができる。

●会話でなにを話すか、どのように話そうかとわたしたちは知恵をしぼるが、相手に聞いてもらうための工夫となると、ほとんどなにもしていない。

●話したいという欲求があると、聞く力はがくんと落ちる。

●人を説得するとは、あなたのいまの考えを捨ててわたしが示す考えを採用しなさいということである。それにはいきなりこちらの論理を押しつけるよりも、なぜいまの考えにこだわるのですかとたずねてみる。

●商品のメリットを並べたてるより、顧客の考えを深くさぐってみるべきだ。現在購入している商品はそれほどよいのだろうか。商品についてもっとたずねてみればよ。その商品はどれくらい保つのか。トラブルはないのか。その取引先が提供しているサービス、配送状況。そのほか自社商品との比較に役立つ情報を相手から引き出してみる。

●相手から求められてもいないのに、なぜすすんでアドバイスするのか。それは相手に影響を及ぼしたいからだ。そうとでも考えなくてはつじつまが合わない。しかしアドバイスしている当人はそうとは認めたくないので、うまくゆかないことも多い。あくまでアドバイスとして相手に受け取られることを望み、説得のテクニックを活用しようとしないからである。

目次

第1章 人とわかりあうことのむずかしさ
第2章 会話に乗ってもらうために
第3章 人の考えを引き出す
第4章 人の感情にどうむきあうか
第5章 言葉に託されたメッセージを読む
第6章 思考を伝え、相手からフィードバックをもらう
第7章 話を聞いてもらうために
第8章 頭をはたらかせる
第9章 相手の抵抗にどう対処するか
第10章 発言の意図をつかむ
第11章 会話におけるギブ・アンド・テイク
第12章 複数の聞き手に意思を伝える
第13章 説得の手法

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