大沢たかお主演「AI崩壊」を見た感想、あらすじ、評価の理由を解説します。

完全ネタバレ解説です。(「AI崩壊」を見た人でなければ、読んでもわからないと思います。)

まずAI崩壊の感想を一言でまとめると「つまらん」「面白くない」。

「深夜特急」以来、大沢たかおのファンです。だから見たのですが、「面白くない」。

薄い、軽い、浅い。残念!131分は長い!

ご都合主義なのはいい。映画だから。

警察の無能さとか、犯人わかりやすいとか、放置された研究所に電気が通っているとか、それはいい。

何が面白くないって、社会に何を問いかけたいのかがあいまいなこと!

・AI自体の危険性?
・AIを扱う人間の危険性?
・監視社会に対する警告?
・少子高齢社会に対する無策への批判?
・格差社会への警鐘?

監督の「俺はこれを伝えたい!みんな、これでいいのか!」という想いというか憤りが僕には全然伝わってこないんですよ。

主人公の桐生のセリフに「人間にしか出来ないことは責任を取ること」というものがあり、これが伝えたいことなのでしょうか?

だとしても、このセリフとそこに至るまでの描写がつながる気がまったくしません。

それとも桜庭の最後の「AIにより人間が選別される時代はきっとくる」というセリフが伝えたいこと?

だとしたら、「語らずに表現してよ!」と萎えてしまいます。

映画って説明文じゃないから。

いずれにしても「AIをテーマにしたエンタメ作るか!」程度の想いしか感じることができませでした。

映画とかアートって、社会や世界、人間への想いを表現する手段であって欲しいと思います。

(わかりやすいエンタメにしないと、興収取れないのかな?)

あらすじ振り返りながら、もう少し詳しく見ていきましょうか。

AI崩壊キャスト

■桐生 浩介(大沢たかお)

主人公。画期的なAI「のぞみ」の開発者。亡き妻・望の為に医療AI「のぞみ」を開発した。

■桐生 望(松嶋菜々子)

桐生浩介の妻・桐生望。夫と共にAIの研究をしていたが、病により若くしてこの世を去る。

■西村悟(賀来賢人)

桐生の義理の弟。AIのぞみを管理する企業の社長。

■桜庭 誠(岩田剛典)

警察が誇るAI監視システムを駆使する警察庁捜査官。

■合田京一(三浦友和)

合田は、昔ながらの勘に頼るベテラン刑事。

■奥瀬久未(広瀬アリス)

警視庁捜査一課の刑事。合田とコンビを組む。

■望月剣(髙嶋政宏)

サイバー犯罪対策課の係長。桜庭の部下。

■田中英子(余貴美子)

女性内閣総理大臣。

AI崩壊スタッフ

■監督・脚本:入江悠
■音楽:横山克
■主題歌:AI『僕らを待つ場所』(EMI Records / UNIVERSAL MUSIC)
■企画・プロデューサー:北島直明

監督の入江悠は2015年の「ジョーカー・ゲーム」で注目されはじめ、「22年目の告白 私が殺人犯です」をヒットさせました。

「AI崩壊」は監督の完全オリジナル脚本でもあり、日本を代表するAI研究者への取材などを重ね、20稿に及ぶ改稿を行い作成したそうです。

プロデューサーは「22年目の告白 -私が殺人犯です-」でもタッグを組んだ北島直明。

AI崩壊のあらすじ

少子高齢化の進んだ2030年の日本が舞台。

全人口の50%しか働ける人口がおらず、子供の割合は10%、残りの40%は老人と生活保護者という社会です。

病気の妻を救うために医療AIを開発した桐生でしたが、利用が承認されませんでした。

桐生の妻、望の弟である西村悟はのぞみを使うべきだと主張しますが、桐生も望も、法律は守るべきだとして使用を拒みます。

その結果、桐生望はこの世を去ります。桐生と娘の心は日本を離れます。

それから数年が経過し、医療AI「のぞみ」は西村悟の会社で進化して、国民の健康を管理する存在になりました。

全国民の年齢、年収、家族構成、病歴、犯罪歴といった個人情報を把握しており、日本にとって欠かせない存在となっていたのです。

しかしある日、AIのぞみが暴走を始めます。

AIのぞみが生きる価値のない人間を勝手に選別しはじめたのです。

そして選別された人間の抹消までのカウントダウンが始まりました。

AIを暴走させたのは開発者である桐生だと断定され、警察から追われる身になります。

逃亡を余儀なくされますが、逃亡しながら桐生は事件の真相に迫っていきます。

AI崩壊の評価と感想

言いたいことは冒頭でほぼ書いているのですが、もう一度この映画が伝えたかったことについて考えてみたいと思います。

やっぱりこの映画の主題は「AIは人間の使い方次第で、人を幸せにもするし、不幸にもする」ということなのでしょうか?

映画の最後に「AIは人間を幸せにするか?」について、桐生は娘の心に「親が子を幸せにできるかと同じ」だと言います。

桜庭の最後のセリフ「AIにより人間が選別される時代はきっとくる」と考え合わせると、AIを使う人間の在り方がメインテーマなんだろうという気がしてきました。

それなら、桐生の逃亡劇いります?

逃亡劇を描くより、桜庭なら桜庭がAIを使って、社会に価値をもたらさない人間を選別するプロセスとか、選別された人間の恐怖を描いたほうが効果的じゃないですか?

警察官という立場のままでもいいし、マッドサイエンティストでもいいけど、選別された人間の憤りや恐怖を表現してほしい。

余貴美子が演じる総理大臣がペースメーカーの不調によって倒れるシーンがあります。この文脈だと「AIのぞみ」を承認しなかった本人が「AIのぞみ」の暴走によって倒れた皮肉を表現したかったのでしょう

でも、AIを扱う人間の危険性を描きたかったとするならば、これ不要じゃないですか?倒れるのは総理大臣じゃなくて、格差社会における貧困層でしょ。

総理大臣倒れても感情移入できませんし。

「衰退していく日本社会を何とかしなければならない」という正義感から歪んだAIの使い方をすることで、ユートピアを作るつもりがディストピアになったという構図のほうがまだ見れます。

役者さんは素晴らしいけど、脚本と演出が残念な映画だと僕は感じました。

テクノロジーと人間の関係を扱ったおすすめ映画

AIじゃないけど、間違ったテクノロジーの使い方が社会をどう変えるかというテーマでは、僕は「ガタカ」を超える作品にはいまだ出会っていません。

またAIと人間の関係性というテーマなら「her/世界でひとつの彼女」が秀逸です。

AIの怖さという点では「エクス・マキナ」が素晴らしいです。

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