前回のシーン9解説記事へ

ここでは次の4つの場面について解説します。

①ガタカ局長ジョセフがビンセントにタイタンへの侵入経路を確認するシーン
②ビンセントが容疑者として自分が浮かび上がったことを、ジェロームに伝えるシーン
③ビンセントとアイリーンのデートシーン&ヒューゴ刑事の捜査
④ジェロームが職質?されるシーン

タイムテーブルで言うと50分~63分あたり。

セリフで見ると、下記の範囲です。

ジョセフ:ジェローム これが例の進入路か
ビンセント:そうです
ジョセフ:なるほど

ジェローム:よく聞け 注文した品物を届けろ 色が違うだろ うるさい またかける ヘアカラーの会社がいつもと違う色を送ってきた ”たまに色を変えては”と 変えるわけにいくか 返品はききそうにない
ビンセント:逃げよう
ジェローム:バカばかりで困る
ビンセント:僕に容疑が
ジェローム:どうして?
ビンセント:マツ毛を拾われた
ジェローム:どこで?
ビンセント:廊下だ
ジェローム:それだけなら心配ない
ビンセント:全館に手配写真が どこを見ても僕がいる 終わりだ
ジェローム:大丈夫だ
ビンセント:見つかる
ジェローム:絶対に大丈夫だよ 夢にも思わないさ 超エリートが偽物だとは ばれっこない おまえは1級宇宙飛行士のままだ
ビンセント:宇宙飛行士じゃない 殺人容疑者だ
ジェローム:何してる せっかくのサンプルを
ビンセント:逃げる
ジェローム:やめろ! わかった 出ていけ でもそれは捨てるな 俺のものだ とんだ腰抜けと契約した 最後の最後になって裏切るとはな 今さらやめるな 俺はどうなる 車椅子で土星に行けというのか?
ビンセント:僕の正体は必ずばれる
ジェローム:バカだな 奴らの目に映るのはこの俺だ マツ毛はしまっとけ 不注意だぞ

ビンセント:出かける
ジェローム:どこに?
ビンセント:どうせ明日捕まるんだ
ジェローム:大丈夫か?
ビンセント:予定通りと言ったのは君だ
ジェローム:誰と?
ビンセント:みんな
ジェローム:”みんな”か
ビンセント:断ると疑われる
ジェローム:眼鏡はいいのか
ビンセント:ありがとう

アントン:誰の命令だ 何してる?
ヒューゴ:捜査です これが私の仕事でして
アントン:なぜ犯人がここだと?
ヒューゴ:不適正者がたむろする居住区です
アントン:確かに だが何年も姿を隠せる男が簡単に尻尾を出すか?
ヒューゴ:どうすれば?
アントン:現場に戻れ ガタカの半径8キロ内をくまなく捜せ

警官:ガタカの宇宙飛行士?
ジェローム:悪いか?
警官:障碍者だろ?
ジェローム:違う 訓練で負傷したんだ 疑うのか? 認識番号は?
警官:もういい
ジェローム:認識番号は何番だ
警官:謝ればいいのか
ジェローム:悔しいか 宇宙に行くのが妬ましいか 地球とはおサラバだ これは尋問じゃない 嫌がらせだ
警官:取り消す
ジェローム:認識番号を言え

ヒューゴ:ここは殺人現場だぞ 勝手に入らせるな
警官:何してる
シーザー:仕事です
警官:証拠だ
シーザー:ゴミですよ

アイリーン:驚いた?
ビンセント:ああ
アイリーン:感動した?
ビンセント:指の数は関係ないんだな
アイリーン:12本指用の曲よ

アイリーン:何かしら?
ビンセント:さあね
ビンセント:唾液は困る ”不純物”が混ざってるから

ビンセント:ありがとう 綿棒は不潔だ
アイリーン:見せたい物が
アイリーン:早く 見逃すわ
ビンセント:行こう 見逃すと大変だ
アイリーン:きれいでしょ?
アイリーン:変だわ 目の色が違う
ビンセント:光のせいだ
アイリーン:そうね

①ガタカ局長ジョセフがビンセントにタイタンへの侵入経路を確認するシーン

このシーン、皆さんはどう見ます?

このシーンを見るたびに、ジョセフはビンセントを不適合者(in-valid)だと知っていたのではないかと思ってしまいます。

その上でビンセントの可能性を応援しているように見えるんですよね。

だからこそ、ビンセントを疑っていた上司を殺害したのではないかと思いたくなるのです。

②ビンセントが容疑者として自分が浮かび上がったことを、ジェロームに伝えるシーン

ビンセントは自分の顔写真がガタカの全館に行き渡って焦っていますが、ジェロームは「心配ない」といいます。

ジェロームが指摘するように、まわりがビンセントを見るとき、ビンセントを見ているわけではありません。DNAすなわちジェロームを見ているのです。

ごく細かい部分に焦点を合わせ、個人を認識する最も大きな影響力を持つ”顔”には関心がないということです。

ここでも、人々は表層的なDNAに関心があるだけで、人間の本質には興味がないことを強調しています。

③ビンセントとアイリーンのデートシーン&ヒューゴ刑事の捜査

ビンセントとアイリーンがクラシックのコンサートに出かけています。

ピアニストの周りを円を描くように聴衆が席についています。

そしてこのデートシーンの合間に、ヒューゴ刑事が不適合者を広場に並べて捜査するシーンが挿入されます。

そのときに円形のミラーに不適合者たちが並んでいるシーンが映し出されます。

ガタカにおいて、”円”というのは”完全=適合者”の象徴になっていると思います。

この円形のミラーの中で不適合者が捜査対象になっているシーンが何を意味するのか?

円という完全な世界の中で不適合者がどう扱われるかを象徴するシーンであるように思います。

クラシックコンサートで表現される円と、捜査を映し出す円形ミラーの対比がすごいと感じます。

さて、そこにアントンが登場し、なぜこんなところで捜査をしているのかヒューゴに問いただします。

アントンは恐れているのです。不適合者が居住する地区にビンセントがいて、ビンセントが逮捕されることを。

アントンはヒューゴに捜査するエリアを変更するように指示します。

これは兄であるビンセントがつかまらないように守るためだったのでしょうか?

これについてはもう少し後のシーンを見なければわかりません。

④ジェロームが職質?されるシーン

車いすのジェロームが職質されるシーンでジェロームが激高するシーンがあります。

刑事はジェロームのDNAチェックをして、ガタカの従業員であることに驚きます。ジェロームが車いすに乗っているから。

ジェロームは過去にそんなぞんざいな扱いを受けたことがないのでしょう。

「お前の認識番号を言え!」と激高します。

ガタカでのルールがいかに恣意的なものであるか、そのために人々がいかに不当な差別を受けているかが強調されます。

シーン11へ続く