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この記事ではガタカの63分~68分あたりを解説します。

①アントンが自宅で泳ぐシーンの意味
②ヒューゴ刑事の推理
③ジョセフ・アントン・ヒューゴの会話

この3つの場面を主に解説します。

63分~68分というのは、セリフで見ると、下記の部分です。

ヒューゴ:見事に合致しました
アントン:カップは最近の物だ
ヒューゴ:2日で2品 犯人は喉が渇いて現場に戻ったか 従業員か
アントン:全員調べた
ヒューゴ:清掃員ではなく社員になりすましているのでは
アントン:ガタカで身分詐称を?
ヒューゴ:強引な推理ですが
アントン:エリートに化けようにも 頭脳と体力が追いつかないはずだ
ヒューゴ:可能性はある 被害者に正体を見破られ殺したんです 社員を採血検査しましょう
アントン:無理だ 業務を数日間停止させることになる 指先の血でいい
ヒューゴ:差し出がましいようですが静脈からの採血を

ヒューゴ:もうすぐです 時間の問題だ

ジェローム:何だこれ 献血か
レイマー:いや いつもの検査法では司法当局が信用しない
ジェローム:痛いな へたくそ
レイマー:見せて
ジェローム:大丈夫 もういい
レイマー:採取はできた
ジェローム:足りなければ靴についてる

ジェローム:アイリーン
アイリーン:無実なの?
ジェローム:誰かに先をこされた
アイリーン:そうね
ジェローム:あさって発つ だから・・・わかるだろ

アントン:最後だ
ヒューゴ:おかしい
アントン:ここにはいないんだ
ヒューゴ:何か見落としてます 再検査を
ジョセフ:これ以上業務に支障が出ては困る
ヒューゴ:殺人犯が怖くないのか
ジョセフ:君たちの存在の方が脅威だよ 今回の打ち上げは70年に7日のチャンスだ 延期はできない
ヒューゴ:その重要な飛行任務を被害者は中止しようとした
ジョセフ:私のデータをよく見ろ 暴力性はないはずだ
アントン:ご迷惑をおかけしました
アントン:ほかをあたれ
ヒューゴ:わかりました 巡回を

①アントンが自宅で泳ぐシーンの意味

63分頃、アントンが自宅のプール(というより水槽)で泳いでいるシーンが描かれていますが、これはとても印象的です。

狭いスペースで泳ぐ練習をするために、ゴムをつけて前進しないようにしています。

泳いでも、泳いでも前に進めない。

これは、どんなに頑張っても、遺伝子が可能にする範囲のことしかできないということのメタファーではないかと思います。

子供の頃、ビンセントとアントンは海で勝負をしてビンセントがどんどん前に進んでいったのとは対照的です。

②ヒューゴ刑事の推理

ヒューゴ刑事は殺人事件の犯人がガタカの社員になりすましていると推理します。

しかし、それに対してアントンは不可能だと言います。

偽装したとしても頭脳と体力が追い付かないと。

アントンは容疑者の写真がビンセントであることに気付いていますが、まさかガタカの社員として採用されているとは考えていません。

一方のヒューゴはより柔軟な考え方を示し、不適合者であっても、なりすますことができたかもしれないと考えます。

ガタカのゲートを通過するときに毎日指先の血液チェックをしているにも関わらず、不適合者が発見されないので、ヒューゴは静脈からの採血を提案します。

さあ、ビンセントはピンチです。

どうするのかと思っていたら、見事に注射器をすり替えました。

「そんなとこまで準備してんのか!?」という思いはありますが、ビンセントの用意周到さと宇宙への並々ならぬ決意を改めて感じたシーンです。

③ジョセフ・アントン・ヒューゴの会話

全社員の検査を終えても、容疑者は出て来ません。

ヒューゴは不満ですが、上司であるアントンから見込み違いを指摘されて、渋々承諾します。

ヒューゴは被害者がコストカットのため打ち上げを中止しようとしたため、中止を快く思わない人間が殺したのではないかと思っています。

中止を快く思わない一人が局長のジョセフです。

ジョセフはこんなセリフを口にします。

「私のデータをよく見ろ 暴力性はないはずだ」

これはとても重要なセリフです。

最終的に殺人事件の犯人がジョセフ局長であったわけですから、DNA的には暴力性のない人間が殺人を犯したということです。

DNAがすべてではない、どころかDNAのデータなんて役に立たない、そんなもので人間を判断することはできないという皮肉がここにも込められているわけです。

シーン12へ続く