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ここではガタカ68分~76分あたりのシーンを解説します。

物語が大きく動く時間帯です。

①アイリーンとの2回目のデート
②ビンセントとアイリーンのベッドシーン
③海辺でビンセントが体を洗うシーン

この3つのシーンの意味を中心に解説します。

セリフで見ると、下記の部分になります。

アイリーン:私は幸運だけどハンデがある
ビンセント:わかるよ
アイリーン:うそ 健康なくせに 恋の病でも? バカな想像かしら 私より事件に興味が?
ビンセント:ああ バカな想像だ 踊ろう
ビンセント:変だな ある場所から必死で逃げようとして ついにチャンスが来た時 未練ができる 1年は長い
アイリーン:そうでもないわ 太陽を1周するだけよ

ヒューゴ:こんばんは 警察です どうぞその場を動かずに 動くなと言ってるだろ なぜ逃げる カツラやレンズを調べろ ナプキンやタバコから唾液の採取を

アイリーン:踊らないの?
警官:どちらへ?
ビンセント:いやちょっと
アイリーン:ジェローム! 何なの?

アントン:どちらへ行った?

ビンセント:こっちへ
アイリーン:私は走れないのに
ビンセント:走った

ヒューゴ:顔に触るな ツバも吐くな 歯を

アントン:ビンセント!ビンセント!!

アイリーン:誰のこと?

ビンセント:僕は・・・
アイリーン:いいの 黙って

アイリーン:どうしたの 脚に傷が
ビンセント:99年型のクライスラー車のフロント・フェンダーの高さだ 不注意だった
アイリーン:いつも同じ説明を?
ビンセント:そうだ
アイリーン:やはり事件に関係を?
ビンセント:違う

①アイリーンとの2回目のデート

2回目のデートで初めて、髪を下ろしたアイリーンの姿を見ることができます。

かなり心を許している感じが出ていますね。

アイリーンと踊っているときに、ビンセントが次のセリフを口にします。

「変だな ある場所から必死で逃げようとして ついにチャンスが来た時 未練ができる 1年は長い」

これが、僕にとってこの映画の中で最も解釈が難しいセリフです。

僕は最初にガタカを見たときには、ビンセントはタイタンから帰ってくるつもりはないのだと思っていました。

タイタンを子宮と表現していることから、タイタンへは”行く”のではなく、生まれる前の状態に”戻る”のだと解釈していました。

また、アントンとの3回目の競泳シーンで、「戻ることは考えていなかった」というセリフもあります。

さらに、最後にジェロームが焼身自殺することを考えても、ビンセントは地球に戻ってこないのだろうと考えていたのです。

しかし、このセリフに着目したとき、「ん?」となりました。

アイリーンのもとに戻って来たいのか??

本当に悩ましいシーンです。

②ビンセントとアイリーンのベッドシーン

海辺の(おそらくアイリーンの自宅?)邸宅でのビンセントとアイリーンのベッドシーンはすごく印象的です。

上手いな~と感嘆しました。

ベッドの後ろには漆黒の空と海が広がり、上下反対に映し出しています。

遺伝子が人生のすべてを決めてしまうガタカの世界では、「適正者」が上、「不適正者」が下です。

それが逆転していることを表現しています。

不適合者であるビンセントと、適合者でありながら心臓に疾患を抱えるアイリーンの2人のベッドシーンにおいて!

適正者と不適正者という絶対的な上下関係を逆転して見せるというのは、運命に抵抗する生き方を強調するものでしょう。

このシーンにはやられました。震えましたね。

③海辺でビンセントが体を洗うシーン

そしてさらに印象的なのが、ビンセントが海辺で体を洗うシーンです。

多くの人がターミネーター2のワンシーンを思い出したかも(笑)

余談でした。

このシーンは何を意味しているのでしょうか?

一夜を共にして、目覚めたビンセントはベッドに自分の髪の毛が残されていることに気付きハッとします。

僕はこのシーンを見て、ビンセントが改めて、自分の本当の目的を考えたのではないかと思うのです。

アイリーンはIreneと綴りますが、ギリシャ神話に出てくる女神エイレーネ―とも読めるし、小惑星イレーネとも読めます。

つまりこの海辺で体を洗うシーンというのは、ビンセントの懺悔を表現しているのではないかということです。

アイリーンには確かに惹かれている。好意を持っている。

しかし、俺はまだIreneとベッドを共にする段階ではない・・・

俺の本当の目的は、この世界を超越することだ。

超越した先にこそ、Ireneとの日々がある・・・

こう考えたのではないでしょうか。

本当に見ごたえのあるシーンです。

シーン13へ続く