前回のシーン14解説記事へ

この記事ではガタカの95分~97分のシーンを解説します。

ジェロームの吹っ切れたような決意を感じるシーンです。

そしてビンセントのセリフの意味をどう捉えるかが難しいシーンでもあります。

ジェロームのポジティブなセリフで始まりながらも、悲劇を予感させるシーンになっています。

95分~97分はセリフで言うと次の部分です。

ジェローム:今日出発だろ? 何て格好だ サンプルを用意しといた 
ビンセント:もういらない
ジェローム:帰った時使え 軽く一生分はある
ビンセント:なぜこんな事?
ジェローム:俺がいないと困るだろ
ビンセント:どこへ行く?
ジェローム:旅に
ビンセント:ありがとう
ジェローム:こっちこそ感謝してる 体を貸す代わりに 夢をもらった 宇宙で読め

この2分ほどのシーンをどう解釈するかは人によって大きく違うところです。

まずはビンセントの「もういらない」というセリフ。

一生分はあるというジェロームのサンプルをビンセントは「もういらない」といいます。

これは「打ち上げまでにもう検査はないから、(今日は)もういらない」という意味なのでしょうか?

それとも、「(タイタンに旅立てば、もう地球には戻ってこれないから)もういらない」という意味なのでしょうか?

ビンセントはDNAデータ上は寿命を過ぎており、心臓病は克服できていません。

アントンとの3度目の水泳勝負でも語っているように、戻るつもりなく全力で泳いでいました。

タイタンへのミッションも同じ気持ちであることは推測できます。

しかし、タイタンから帰還する意思がないのなら、アントンとの水泳勝負の後、アイリーンに会いにいくでしょうか?

最後にもう一度アイリーンに会いたかったのだと解釈することもできるし、再び地球に帰ってくるための決意を新たにするために会いに行ったとも解釈できます。

ジェロームに対しては、ビンセントはジェロームの決意の内容に気付いたと思います。

「旅に出る」という”旅”がどんなものであるか、ビンセントは悟っている気がします。

そしてジェロームのセリフ「こっちこそ感謝してる 体を貸す代わりに 夢をもらった」が何を意味しているのかはラストシーンで明らかになります。

ジェロームはビンセントの情熱に触れて、ビンセントの夢を叶えることに生きる目的を見出していました。

世界最高レベルの遺伝子を持っていても、熱中できる何かがなければ、人生は無意味なのです。

最初にジェロームが登場したときの虚無的な表情から、だんだんと表情が変わっていき、このシーンでは目的を達成した満足感すらあるように見えます。

シーン16へ続く