前回のシーン3解説記事へ

シーン3はビンセントの子供時代のフラッシュバックでしたが、シーン4は家族と訣別してから、ガタカで清掃員として働いていた時代のフラッシュバックです。

シーン4では、自然出産した”不自然な”人間であるビンセントが、というより遺伝子的に劣ると考えられる人々が差別される社会が強調されます。

アントンに水泳のチキンレースで勝ったことで、自分の未来に希望を持ったビンセントは、自分の夢を理解しない家族と決別しますが、in-validであるビンセントは用務員としての仕事しかありません。

(ビンセント:僕はその後の数年間仕事を転々として放浪した 方々のトイレを磨きながら 僕の属する新下層階級は肌の色で決まるのではない 今や差別は科学の領域だ)

地味なグレーの制服に身を包んだ清掃員たちが移動中のトラックの上で、意気消沈して座っているショットは、パリッとしたスーツで歩くガタカの社員とは対照的です。

VALIDとIN-VALIDの差別が強調されています。

それでもビンセントは飛び立つ宇宙船を天窓から見上げながら「俺もいつか!」と思っています。

オフィスの掃除の最中にビンセントが椅子に座ってパソコンを操作する様子からも夢を捨てていないことがわかります。

シーザー:ガタカだ 清掃用具はそこだ 正面から始めてくれ 顔が映るくらいピカピカに磨け
シーザー:王子は宇宙の夢でもご覧かな? 来い ここを磨いてから夢を見ろ
(ビンセント:憧れの場所を訪れて初めて悟った ”かなわぬ夢だ”と)
シーザー:ガラスは磨きすぎるな
ビンセント:どうして?
シーザー:目の毒だ
ビンセント:僕が向こうに行った時 見てほしくて

清掃員の管理者であるシーザーはそんなビンセントの夢を馬鹿にしています。

「ふん」と鼻で笑います。

シーザーの反応が表わしているのはガタカが描く社会の常識を受け入れているということでしょう。

IN-VALIDな存在が社会で高い地位に着けるわけはないという常識。

夢を持つことや、そのために努力するという人間として持っておくべき心を失い、遺伝子が人間の可能性を測る指標であることを受け入れているのです。

あらゆる差別にも関わらず夢を持ち続けているビンセントと対比させています。

そして次のシーンでビンセントはユージーンと出会い、新たなアイデンティティを手に入れることになります。

(ビンセント:精一杯の強がりだ どんなに努力しても 血液検査という壁が立ちはだかる 僕は過激な手段に出た 彼の存在を知ったのはとある筋からだ)

シーン5へ続く