前回のシーン7解説記事へ

ここでは大きく2つの場面を説明します。

一つは、アントンが今回の事件に兄であるビンセントが関わっていることに気付いた場面。

もう一つはビンセントが肉体的な欠陥を克服できていなかった場面です。

セリフから確認していきましょう。

アントンの疑念

ユージーン:何分要る?
ジェローム:20分

女性:もういいわ あなたも

ヒューゴ:犯人らしき男のマツ毛を見つけました 10年に1度の奇跡だ
アントン:マツ毛か 誰のだ
ヒューゴ:不適正者で 清掃員を務め 数年前失踪した
アントン:当時のものでは?
ヒューゴ:床の清潔さを見る限りあり得ない
アントン:数年前辞めた清掃員が戻ってきて殺人を?
ヒューゴ:暴力的とのデータが
アントン:彼は病人でもあるわけだろう 死んでいる可能性は90%だ
ヒューゴ:生きている可能性も10%あります マツ毛の主が犯人ですよ 家族関係も調べて
アントン:もう済ませた 肉親はいない
ヒューゴ:残念だ
アントン:入館記録を調べろ 怨恨による犯行も考えられる 被害者に恨みを持つ者も多い 経費節減の推進で
ヒューゴ:お言葉ですが・・・ わかりました

レイマー:まるでメトロノームだ 乱れがない
ヒューゴ:局長 容疑者が出ました
ジョセフ:よかった 誰です?
ヒューゴ:部外者のマツ毛を検出しました
ジョセフ:不適正者?
アントン:確証はありませんが
ヒューゴ:とにかく全館に手配写真を
アントン:気になる事が
ジョセフ:仕事がら好奇心が旺盛ですな
アントン:ここの採用方針は?
ジョセフ:”人材採用哲学”ですか
アントン:選考の基準は?
ジョセフ:一般人よりも高水準を持っていること
アントン:エリートにも甲乙はあるでしょう
ジョセフ:若干の欠点は黙認することもあるが 他分野の人材には劣らないはずだ 司法当局にも 今では遺伝子操作が普及し 新しい基準が確立した 優れた頭脳と肉体は さらなる宇宙開発の要だ
アントン:入社後も検査を?
ジョセフ:可能性を生かすために
アントン:育成も?
ジョセフ:可能性は伸びない
アントン:伸びたら?
ジョセフ:初めに測定を誤ったんだろう

アイリーン:大丈夫?
ジェローム:ああ

ガタカに戻ると、刑事たちが殺人事件の証拠となる不適合者のまつ毛を発見していました。それはビンセントのまつ毛で、もちろんガタカの従業員であるジェローム・モローとは結びつきません。

まつ毛から割り出された人物写真を見たとき、アントンは「まさか」と驚いたことでしょう。

そこに映っていたのは失踪した兄であるビンセントだったのですから。

しかしアントンはにわかに信じられず、部下の刑事には「肉親はいない」と嘘をついています。

そしてジョセフ局長に訊ねます。

「ここの採用方針は?」

不適合者であるビンセントがガタカに採用されているはずがないと思ったからです。

局長に「可能性は伸びるものか?」と確認するアントンに対して、局長は「可能性は伸びない」と断言します。

それでも食い下がるアントンに「(もし間違って採用したとしたら)初めに測定を誤ったんだろう」と答えます。

この後にジョセフ局長がビンセントにタイタンへの侵入経路を確認する場面がありますが、その場面とここでの局長のセリフを見ていると、局長はビンセントが不適合者であることを知っていたのではないかと思います。

また、このシーンではガタカの世界の人間たちが「木を見て森を見ず」であることを批判しているのでしょう。

つまり、まつ毛1本から採取した遺伝データのみを見つめ、容疑者であるビンセントの顔写真に誰も注意しないといことです(アントンを除いて)。

最も明白な”顔”という全体に注意を払わず、まつ毛の情報しか見ていないんですね。

ごく小さな部分にピントを合わせて、全体を見ようとしない。

そんなことでビンセントは差別されているのです。

ビンセントがロッカールームで倒れるシーン

ジェロームの脈拍記録を使ってランニングマシンで走るビンセントですが、記録した20分を超えたところで、心拍数の急上昇を察知されます。

急いでランニングマシンから降りたビンセントはアイリーンの前では平気なふりをしながら、ロッカールームで苦しさのあまり倒れます。

ビンセントが心臓病を克服できていないにも関わらず、必死の努力をする様子が描かれます。

このような努力は適合者たちは決してやらないことです。

シーン9へ続く