フランシス・ベーコンについて勉強するとき出てくるのが「4つのイドラ」と帰納法です。

この記事では「4つのイドラ」と帰納法の関係について解説します。

まずはイドラから解説

イドラとは簡単にいうと、先入観・偏見のことです。

フランシス・ベーコンはイドラを「知」を獲得するために陥りがちな誤りと考えていました。イドラは良くないものということです。

ちなみに「イドラ」はラテン語で「迷妄」のことです。

さて、4つのイドラとは下記の4つです。つまり「迷妄」を4つの種類に分けたということです。

①洞窟のイドラ
②劇場のイドラ
③種族のイドラ
④市場のイドラ

①洞窟のイドラ

これは個人の思い込みのことです。例えば子供は、学校や親に教えられたことを正しいこととして受け入れます。しかしそれらがすべて正しいとは限りません。人種差別的な考えを持った親の子供は、同じような価値観を持ってしまいがちですが、これは正しいとは言えないでしょう。このように「ある環境」で学んだことから生まれる偏見を「洞窟のイドラ」と呼びました。

②劇場のイドラ

偉い人の言うことは正しい!これが劇場のイドラです。今回のコロナ騒動では、テレビにたくさんの専門家が登場して、それぞれの意見を述べていました。

でも、よく聞くと真逆のことを言っている場合もありましたよね。「マスクはするべきだ」「マスクをしても意味はない」など。専門家・権威が言うことであっても間違っていることは多いのですが、私たちは権威者が言うことを盲目的に信じてしまう傾向があります。これも危険なイドラですね。

③種族のイドラ

人間という種族がもともと持っている本性から生じる偏見や思い込みです。私たちは感覚で物事を判断しますが、それがいつも正しいとは限りません。

ダイヤモンドだと思ったら、ただの石ころだったりとか。

見間違い、勘違い、思い違い、私たちの理性も感覚も絶対的に正しいわけではありません。

④市場のイドラ

市場のイドラとは、言葉による思い込みです。

都市伝説の類や、噂話、フェイクニュースなどによる偏見、思い込みです。

言葉は恐ろしいです。今では笑い話ですが、昔ノストラダムスの大予言というのがあって、1999年世界は滅亡するなんて言葉を本気で信じている人もいました。

占い師の言葉なんて市場のイドラの代表格ではないかと思います。

「知」を獲得するためにはイドラを捨てる。そのために有効な思考法が帰納法である。

フランシス・ベーコンは「知」を得るためには、イドラのない経験をたくさん集め、その中で共通することを見つけていき、一般的な法則を見つけることが大切だと説きました。

真理を導き出そうとするのに、イドラ(偏見)がある経験をどんなにたくさん集めても意味がないということです。

しかし、イドラを捨てるというのは、言うのは簡単ですが、そんなことができる人が本当にいるのか? と思ってしまいます。

偏見や思い込みがあるからこそ人間、という気がします。

でも、それでは「知」を獲得できないので困ります。

そこでフランシス・ベーコンが提案したのが「帰納法」という思考方法です。

帰納法とは、実験や観察、経験などによって得た具体的な事例から共通点を見出し、一般的な法則を導く思考方法です。

例えば、「猫はどんな動物か」と考えるとき、1匹、2匹の猫を見て考えるのではなく、100匹、200匹、300匹・・・と見て、そこから共通するものを導き出すということです。

2、3人の新入社員の言動を見て、マナーがなっていないからといって「いまどきの新入社員は・・・」なんて口にする中年のおっさん社員の言葉はイドラの塊です。

その年に入社した全新入社員、もっと言えば、他社の新入社員も見てはじめて、「いまどきの新入社員は・・・」と口にできるようになるのです。

人間だからイドラを捨て切ることは難しいでしょう。

だからこそできるだけたくさんのサンプルを集めて観察するのです。

帰納法という考え方は、イドラを克服するための思考法ということです。

イドラを意識しつつ、帰納法によって思考することによって、物を見る目や、判断力を磨くことができるのです。

フランシス・ベーコンの哲学・思想②「知は力なり」の名言の真の意味