週刊ヤングジャンプの超人気連載漫画を原作とした映画キングダムをAmazonプライムで見ました。

原作の漫画は累計4,000万部を超えるスマッシュヒット。映画の興収も公開2ヵ月で50億円を超える大ヒット。

でも、この映画、面白いのでしょうか?面白くないですよね?

50分くらいで見るの辛くなったんですけど。

せっかく見始めたので、このレビューを書くためだけに最後まで見たという感じです。

原作漫画は名作だと思うし、映画も原作の雰囲気を再現していて、キャストも素晴らしい!

それでも面白いとは思えなかった。

シナリオが悪かったかというとそんなことはありません。

ドラマツルギー的には完璧なくらいシナリオもいいと思うのですが、最後までスクリーンの向こう側に意識を持っていかれることはありませんでした。

理由は多分、知的好奇心をまったく刺激されなかったから。ホントに時間をつぶすための作品。何も内面に迫ってくるものがありませんでした。

使った時間に対して、自分の感性や感受性の向上につながる成果を感じられなかったからということです。

大澤たかおの存在感はハンパなかったし(二の腕すごい!)、長澤まさみはカッコいいし、それだけに残念!!

ドラマツルギー的あらすじ解説

映画キングダムのあらすじを見ていきましょう。

ドラマツルギーとは作劇論のことです。クリストファー・ボグラーが著書「神話の法則」で提示した三幕構成(ヒーローズジャーニー)もドラマツルギーです。

他にも人の心を動かすドラマツルギーとしてこんな構成もあります。


日常(日々何気なく過ごしている状況)

事件(平凡な日常を破壊する契機)」

非日常(事件による不安定な状態)

解消(不安定な非日常を乗り越えるための戦い)

新たな日常(成長した日常)


映画キングダムはこの構成にピッタリ当てはまるんですよね。

【日常】

春秋戦国時代の中国。奴隷の少年、信(山﨑賢人)は、親友の漂(吉沢亮)と、いつか奴隷から這い上がり天下の大将軍になることを夢見て剣術の練習を行なっている。

【事件】

秦国の重鎮である昌文君(高島政宏)が漂(吉沢亮)を宮廷で働くようにさせる。秦王である嬴政に瓜二つだったため、秦王に反乱を企てる、7弟、成蟜(本郷奏多)から守るために。

【非日常】

秦王、嬴政の身代わりとして殺された漂(吉沢亮)の敵を討つため、信(山﨑賢人)は嬴政とともに成蟜(本郷奏多)が起こした反乱を鎮圧することを決意する。しかし数的に不利な嬴政は、山の王 楊端和(長澤まさみ)の助力を得て秦国の王宮に攻め入る。

【解消】

成蟜(本郷奏多)を討とうとする信(山﨑賢人)の前に立ちはだかったのは元将軍であり、成蟜(本郷奏多)の用心棒となっている左慈。死闘の末、信は左慈を倒し、反乱軍の野望を打ち砕いた。

【新たな日常】

反乱に失敗した成蟜を嬴政が殴り倒し、秦国の新たな未来が開かれるのであった。

シナリオ的には心が動かされるはずなのですが・・・

映画キングダムが面白くない理由

本編は2時間13分あるのですが、50分あたりで見るのが辛くなってきました。

その理由を考えてみました。大きく3つあります。

①原作をほぼ忠実に再現しているだけなので意外性なし

信と漂の子供時代からスタートし、成蟜の反乱を鎮圧するところまでを描いています。とりあえず映画化してみて、好評だったら続編行きますよ!という感じでしょうか。

羌瘣(きょうかい)が登場しなかったりと若干原作と異なる部分もありますが、ほぼ原作を忠実に再現しようとしています。

だから意外性はゼロです。90分くらいの尺で、信や漂のサイドストーリー的なものを作って、この時代の中国の人々の心情面をもっと表現してほしかった。

②役者の無駄遣い

最初に書いた通り、大澤たかおの存在感、長澤まさみのカッコよさには痺れます!

でも、物語とのかかわりが薄すぎて、役者の無駄遣いという感じ。

軽四自動車にフェラーリのエンジン積んだ感じ?

③主題がない

引き付けられない一番の理由はコレ。テーマがないんですよ。

映画って監督の問題意識を表出するツールであり、世の中に何を問いかけたいのかを考えるのが楽しみだと思っています。この映画にはそれがない!監督にメッセージがないんです。

暇つぶしのエンターテイメントなので別にいいのかもしれませんが、監督が観客や社会に問いかけたいテーマがない映画ってホントつまらないです。

春秋戦国時代を監督がどう捉えているのか?

武将の視座に立って、戦乱の世は身を立てることができるチャンスの時代と考えるのか、

庶民の視座に立って、戦争で失われるものをあぶり出すとか、

監督なりの問題意識ってないのかな?こんな映画作って楽しいのかな?表現者としてこれでいいの?

ずっとそんなことを考えさせられる映画でした。

ヒットしたから、多分続編できるんだろうけど、監督が同じならもう見ないかな。

話は変わりますが、桓騎(かんき)の異質性がどのように形成されたのかという桓騎(かんき)の生い立ち、内面を描く映画だったら見てみたい。

原作54巻の時点ではまだ描かれていないし。