前回の記事でフランシス・ベーコンがどんな人物なのか、その人となりを見てきました。

今回は、フランシス・ベーコンの名言「知は力なり」の意味を解説します。

フランシス・ベーコンが言う「知」と、それまでの中世ヨーロッパで考えられていた「知」は意味合いが違います。

中世ヨーロッパにおける「知」とは、神学のことでした。

ルネサンスが始まると、哲学、論理学、数学、天文学なども「知」と考えられるようになります。

しかし、あくまでも「知識」であって、それを何か実用的なことに利用することはありませんでした。

フランシス・ベーコンにとってみれば、例えば「スコラ哲学」は何の役にも立たない机上の空論ということになります。

この時代、学問は学問のためにあったのです。受験のための勉強みたいなものと言えるかもしれません。

※スコラ哲学とは
スコラはラテン語で学校という意味です。哲学・神学を中心に研究していました。中世最大のスコラ学者であり、神学を哲学の上位に位置付けたのがトマス・アクィナスです。論理的に神の存在証明を行ったことで有名です。

フランシス・ベーコンが言うところの「知」とは自然科学がもたらす知識です。

特に「工学」のような実用的な学問を重視し、その「知」を人間の生活を豊かにするために利用しようと考えたのです。

当時としては画期的な考え方だったと言えます。

ベーコンは著書「ノヴム・オルガヌム(新機関)」の中で、こんなことを述べています。

「知と力はひとつに合一する。自然は「知」に服従することによってでなければ、征服されない。」

つまり人間の生活のために、科学(学問)を技術として使い、自然を支配し変革していくべきだ、ということです。

宗教に支配されていた中世から、自分を主体として考えるようになったことが背景にあるでしょう。

自然を客体と考えるようになる時代の始まりです。

上記の言葉は見方を変えれば、人間による自然(地球)への搾取が始まったと考えることもできます。

このような考え方が近代の基本思想となっていきます。

中世から近代へと移り変わる節目に登場したのがフランシス・ベーコンという哲学者なのです。

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