何気なく使っている、何気なく耳にてしている「倫理」と「道徳」という言葉。

同じような意味で使われているような気がするけど、何か違いがあるのでしょうか?

気になったので、いくつかの視点から調べてみました。

①漢字の意味から考える
②語源から考える
③文部科学省の指導要綱から考える
④哲学者はどう考えたか?

結論を先に言っておくと、「倫理」と「道徳」の意味は同じです。

ただし、人によって捉え方が違うので、もし「倫理」や「道徳」について議論するときは(そんな機会はあまりないと思うけど)、お互いの定義が同じかどうか確認しておかないと誤解が生まれるかもしれません。

まずは漢字の意味から考えてみましょう。

漢字の意味から考える倫理と道徳の違い

倫理の「倫」には次のような意味があります。
・人の守るべき道筋
・物事の正しい順序
・仲間

倫理の「理」は「ことわり」=「ルール」ですね。

だから倫理というのは、漢字の意味から考えると、「仲間内で守るべきルール」「人として守るべきルール」ということになりそうです。

「仲間内のルール」と「人のルール」を比較すれば、「人のルール」のほうが範囲が広くなります。

でも、現実を考えると、社会によってルールは異なることがありますよね。

日本とアメリカではルールが違うし、日本でも北海道と沖縄では社会のルールは違うことがあるかもしれません。

そのように考えれば、「倫理」は「仲間内で守るべきルール」ということかなと思います。

次に道徳の「徳」は辞書を調べると意味がたくさんあるので、漢字の成り立ちから考えてみましょう。

これをじっくり見て考えると、「まっすぐな心と目を持って進もう!」という意味になりそうです。

具体的に言うと、道徳とは「人が行うべき道」「立派な行為」「善行」ということです。

となると、倫理は「理論的なもの」、道徳は「行うこと」、と理解できるでしょうか。

私の個人的な感覚では

●倫理=己を律するもの→自分ひとりでできる
●道徳=相手を敬うこと→他社がいないとできない

こんなイメージを持っています。

次に語源から考えてみます。

語源から考える倫理と道徳の違い

道徳は英語でmoral(モラル)。語源はラテン語のmores(モレス)。

倫理は英語でethics(エシィクス)。語源はギリシア語のethos(エートス)。

mores(モレス)もethos(エートス)言葉も 「慣習、習俗」という意味です。

古代ギリシアでは「慣習、習俗」をethos(エートス)といい、ギリシアより西方のラテン世界ではmores(モレス)と言っていたということです。

日本では「猫」といい、アメリカでは「キャット」と言うみたいなものです。

語源から考えると倫理と道徳には違いはなさそうです。

文部科学省の規定から考える倫理と道徳の違い

小学校では「道徳」の授業があり、高校では「倫理」の授業があります。

文部科学省では「道徳」と「倫理」の違いをどう説明しているのか、文部科学省の指導要綱をチェックしてみましたが、違いについて明確に説明しているところはありませんでした。

道徳教育の目的は「児童生徒が生命を大切にする心や他人を思いやる心、善悪の判断などの規範意識」を身につけることにあるようです。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/doutoku/

ここから考えると道徳とは、「他人を思いやる心、善悪の判断基準」という意味のようです。

一方、高校の倫理の授業では何を勉強するかというと、古代から近現代までの思想の歴史(哲学者の考え方)です。

指導要領には

「人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念に基づいて,青年期における自己形成と人間としての在り方生き方について理解と思索を深めさせるとともに,人格の形成に努める実践的意欲を高め,他者と共に生きる主体としての自己の確立を促し,良識ある公民として必要な能力と態度を育てる」

とあります。

簡単にいうと、「社会の中で主体的に生きるとともに、他者ともうまくやれるようになろうぜ!」ということでしょうか。

小学生では事例(いじめなど)を上げながら、どう行動するのが良いかという具体的な行動の仕方を勉強し、高校で理論を学ぶという順番になっているようです。

最後に、倫理や道徳といえば、哲学を連想する人が多いのではないでしょうか。

歴史上の哲学者が倫理と道徳をどのように使い分けていたのか、一例をあげてみます。

哲学者はどう考えたか?

18世紀から19世紀初頭を生きたカントとヘーゲルを比較してみましょう。

同時代に生きた哲学者にも関わらず、カントとヘーゲルでは倫理と哲学の使い方は違いました。

カントは道徳の中に倫理が含まれる

ヘーゲルは倫理の中に道徳が含まれる

と考えていました。

大哲学者からして、それぞれ使い方が違うのだから、結局のところ倫理と道徳には明確な違いはないということです!

最後にひとこと

2018年度から小学校で「道徳」が独立した教科として教えられるようになりましたが、その前に国のトップ(安倍政権)が道徳の意味を理解してくれよ!と思いませんか?

モリカケ・桜・検事定年を違法に延長・・・

最も不道徳な人間が道徳を語るという不思議の国(日本)で道徳の授業を受けた子供たちがどんな大人になり、数十年後の日本がどのような国になっているのかとても興味深いです。