映画アザーライフ~永遠の一瞬~のネタバレ解説と感想です。

SFサスペンス。見ごたえあります。現実の現実性がなくなる感覚を味わえます。

モチーフはよくある仮想現実ものですが、アザーライフの設定が面白いのは、自分自身で記憶を埋め込んだ(プログラムである)ことの記憶があることです。

仮想現実や偽装現実ではなく、実体験として記憶されるということです。

同じモチーフの映画、例えばトータル・リコールでは記憶が埋め込まれたものであることを当人は理解していません。

本当の自分を喪失した状態から、本当の自分を取り戻すという物語です。

一方、アザーライフはまさに”アプリ”のように記憶を”追加”していくことができるのです。

しかも1分で1年間分の体験を記憶に埋め込める。

この点が他の仮想現実ものと違うところです。

じゃあ、このアプリを使えば、1分で1年分の外国語が勉強できてペラペラになってしまうのかな?

まあ、そんなことはどうでもいいです。

まず最初に感想というか、この映画見て考えたことを最初に簡単にまとめると

●人間は人のためにって思ってやっていることも結局は自分のためなんだよね

●身体性を伴わない記憶は本物の記憶と言えるのか?

●どんなに記憶を改変しようと、現実は変えられない。現実を見て生きよう!

こんなことを考えさせられました。

今回は、アザーライフの作品情報、あらすじ、見どころ、ネタバレ解説(この映画を通して何を伝えたかったのか?)を書いてみます。

すでにアザーライフを視聴済みの方はあらすじは飛ばしちゃってください。

では、いってみましょう!

アザーライフ 作品情報

監督:ベン・C・ルーカス
キャスト:
ジェシカ・デ・ゴウ(レン・アマリ)
T・J・パワー(サム)
トーマス・コックレル(ダニー)
リアム・グラハム(ジャレット・アマリ)
クラレンス・ジョン・ライアン(バイロン)ほか
制作国:オーストラリア
公開年:2017年
上映時間:95分

アザーライフ あらすじ

バイオ系ITベンチャー企業の経営者であるレンは共同経営者のサムと共にアザーライフと新薬(ソフトウェア)を開発していました。

これは人間の脳に別の記憶を埋め込むことで、短時間で長期の体験をできるという仮想現実を作り出す薬です。

次のようなセリフにある通り、アザーライフを体験できるのです。

自由な時間が足りず 
ムダに生きていると感じる時
人生を買えたら
いいですよね?

仕事の前にボートに乗り
昼食時にスノボをする
そして夜にはダイビング
これは疑似体験ではなく
代替品でもない
脳に本物の体験をさせる
我が社の特許技術です

まずはバケーション
次は何を?
双方向型で長期使用可能です
長期間かかる訓練や
セラピーなどの体験が
脳に追加されるのです
アプリのように

考えてみてください
”別の人生”では
何をしたいですか?

サムは出資者にこんなプレゼンをしています。

しかしサムには裏の思惑がありました。

それは犯罪者の刑罰に使うこと。

1分で1年分の投獄体験をさせることもできるからです。1時間で60年分の投獄体験をさせられるということです。

これを政府に売って大儲けしようとします。

しかしまだプログラムは完成しておらず、人体実験をする必要がありました。

そんなとき、サムはレンが新薬開発を不正使用しているのではないかという疑惑を抱きます。

レンには海の事故で植物状態になった弟ジャレッドがいます。

レンはその新薬開発を弟を助けるという自分のためにも行っていたのです。

レンを追求しますが、この段階では追求しきれません。

その後、レンは恋人のダニーが新薬を使ってみたいというので、スノーボード体験をさせます。

しかし、レンがちょっと目を離した隙にダニーは未完成の新薬(弟を助けるために開発していた)を使ってしまい死亡します。

これは海で溺れたジャレッドの記憶でした。

サムに呼び出されたレンは、ダニーの死を知らされ、さらに新薬の不正使用で告発すると言われました。

そこでサムはレンに提案します。

1年間の監禁実験に協力すれば見逃してやると。

仕方なくレンは実験台になります。

独房に閉じ込められ、まったく他社とのコミュニケーションを許されない地獄のような監禁です。

独房の1面に電光掲示板で経過日数が表示されていきます。

1日、2日、100日、200日、そして365日。

やっと現実世界に戻れると思ったその時、掲示板は再び1日目に戻ります。

狂気に取りつかれたようにレンは暴れます。

そしてその独房から自力で脱出すると、レンは倉庫に作られた部屋に本当に監禁されていたのです。

レンは友人に電話をして助けを求め、事情を確認します。

レンは1年前に会社を辞めたことになっていました。死んだと思っていた恋人のダニーも生きていました。

サムはレンを監禁した後、新薬で大儲けをしていました。

騙されたと知ったレンは会社に乗り込み、自分が開発した新薬を盗みだします。

ダニーと共にレンは自分の父の家にいってパソコンで新薬を完成させ、ジャレッドの元に向かい投薬しました。

しかしジャレッドは痙攣をおこしてしまいます。

もう助からないと思ったレンはジャレッドの生命維持装置を外しました。

そこでレンは目覚めます。そこは会社の実験室でした。

本当に監禁されていたと思っていたことも、すべて仮想現実だったのです。

現実世界では恋人のダニーはやはり死んでいました。

サムは監禁実験について強引すぎたと謝ります。

レンは会社の経営権をあげるから、特許は自分がもらって研究は終わりにするとサムに告げます。

ダニーのお葬式が終わり、レンは会社に呼び出されます。社員は会社をたたむ準備をしていました。

しかしサムは新薬開発をあきらめていません。もう一度実験すれば、開発は成功して会社を救うことができると考えます。

レンを説得するサムですが、説得できそうにないと悟ると、強引にレンに目薬を投与します。

再び仮想監禁されそうになりますが、エラーが起こって現実世界に戻ります。

怒ったレンはサムに反撃、目薬をサムに塗り付けます。

サムはレンが体験したのと同じ365日監禁体験をします。365日から1日目へ。レンと同じ体験をしたサムは気が狂って発作を起こしました。

このままでは、ダニーと同じように死亡してしまいます。

そこまで追い込んだところで、レンはサムに意識が戻る注射を打ちました。

サムへの憂さ晴らしが終わったところで、レンは父親に電話し、それまで反対していたジャレッドの生命維持装置を外すことに同意します。

父親とジャレッドの病室に行くレン。2人は抱き合って泣き続けます。

アザーライフ 見どころ

①1年(実際は1分)の監獄プログラムで365日が終わって、出られると思ったら、また1日目からプログラムが再開されてしまうという絶望感。

②レンが監獄プログラムを自力で脱出したと思ったら、実はリアルに監禁されていただけだったと、視聴者をミスリード(実はこの部分も仮想現実)。

③弟のジャレッドを助けようと目薬を投与して、一瞬意識が戻るがジャレッドは微笑まない。逆に生命維持装置を外したところでジャレッドがほほ笑む。

このあたりが見どころかなと思います。

アザーライフ ネタバレ解説

アザーライフは結局何を伝えたかったのでしょうか?

僕が感じたのは

どんなに記憶を改変しようと、現実は変えられない。現実を見て生きろ!

ということではないかと。

この結論に至るまでの考えを整理してみました。

①人間は利己的な存在なのだ

レンは弟の意識を取り戻すために、会社の資産を個人的に利用して新薬を使おうとします。

これは真に弟のことを考えてのことなのでしょうか?

僕にはそうは思えません。

弟のジャレッドが海で事故にあって、意識不明になってしまったのは自分の責任だとレンは感じています。

その自責の念から逃れるために、新薬を使おうとしたのではないでしょうか。

新薬の実験を繰り返し、適用できると確信したレンはジャレッドに目薬を投与して、一瞬ジャレッドは意識を取り戻します。

ホッとするレン。

レンを見つめるジャレッドですが、表情は硬いまま。

しかし、すぐにジャレッドの体は痙攣を起こします。

動揺して見かねたレンはジャレッドの生命維持装置を外します。

レンの頭の中にジャレッドが海岸で微笑むシーンが浮かびます。

※これらのシーンも実はレンがまだ仮想現実世界にいるときの体験であり、仮想現実の中の仮想現実としてジャレッドの微笑みが描かれています。

ジャレッドを助けようとどんなに努力しても微笑んでくれなかったジャレッドが生命維持装置を外して初めて微笑みを見せます。

ジャレッドはこんなことを思っていたのではないでしょうか。

別に姉ちゃんのせいじゃないよ。だからもうこれ以上苦しませないでくれよ。

レンは弟のためにと思って薬を開発しながら、実は自分の後悔の念をリセットしたくてやっていた。

つまり人間は利他的に振舞っていても、結局は利己的な存在なんだということです。

②身体性を伴わない記憶は本物の記憶と言えるのか?

レンは仮想現実の中でジャレッドのメッセージを受け取り、現実世界に戻ります。

そしてそれまで頑なに反対していたジャレッドの生命維持装置を止めることを決意しました。

でも、これって不思議に思いませんか?だってレンはこの時点で仮想現実の世界にいるわけですよ。

そして、この映画での仮想現実というのはあらかじめ設定されているもののはずなんです。映画冒頭で出てきたスノーボード体験とかのプログラムですね。

レンが仮想現実で体験したことも、本来は最初に設定されておかなければならないはずなんですが、まさかこんな体験をあらかじめ作ったとは考えられないですよね。

ここがこの映画の設定の甘いところです。

いや、もしかすると仮想現実の世界と思わせながら、実はレンのリアルな深層心理が描かれていたのか?

(レンは弟を助けるためと言いながら実は自分の贖罪のためであることに深層心理では気付いていた?)

うーん、この辺を考え出すと、ややこしくて泥沼なのでやめておきます。

もし、レンが受け取ったジャレッドのメッセージが仮想現実ではなく、レンの深層心理であるならば、それは埋め込まれた記憶ではなく、身体性を伴う本物の記憶(無意識に思考した記憶)と言えるでしょう。

③現実を見ようよ

これらのことを考えていて、監督であるベン・C・ルーカスは

どんなに記憶を改変しようと、現実は変えられない。現実を見て生きろ!

と言いたかったのではないかと思うのです。

現実は辛いことが多い。でもそこで仮想現実に逃げるのではなく、現実と向き合って強く生きていこう!

そんなメッセージを感じました。